休日
nonya
ちょっとだけ焦げたトーストに
マーマレードを丹念に塗りつけながら
行間が欠伸している新聞記事を
接続詞のように眺めていた
かなりぬるくなったコーヒーを
スプーンで執拗にもてあそびながら
葉先に寝癖がついている観葉植物を
句読点のように眺めていた
窓から射し込む優しげな光は
遅すぎる朝を真っ直ぐに進んで
見られることもなくなった壁の
セザンヌを半分だけ明るくしている
作者不詳の鼻唄まじりに
見上げた時計はすでに柔らかくて
柱を伝い落ちた秒針が床に
黒猫の形の水溜りを作っている
ようやく取り戻した時間の
こそばゆい重さを味わいながら
回転速度を上げずに考える
自分の右側だけで考える
何処へ
行かなくて良いのかを
何事を
行わなくて良いのかを