虎落笛(もがりぶえ)
星月冬灯


 腹を空かせた

 幼い獣のように

 どことなくか細く

 切なく弱々しく

 響くその音は


 夜な夜な

 私の寝所まで

 聞こえてくる


 ぎゅっと耳を塞いでも

 まるで心臓へ

 直接響いてくるような、

 その音


 泣きたくなるのは

 ただ怖いから?


 あの小さな獣は

 なぜああも

 哭(な)くの?


 冷たくなった

 布団の中で

 足を丸めて

 私は祈るように

 眠る



  虎落笛〜冬の烈風が柵・竹垣などに吹きつけて、

  笛のような音を発するのをいう。


自由詩 虎落笛(もがりぶえ) Copyright 星月冬灯 2008-08-29 12:56:24
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