稲穂の実る頃
白昼夢
遠くの森で蜩が鳴いている
遠い遠いどこかの森で
穂を啄ばみに来る雀の群れを追い払う
生きるためにはしなければならない、どちらもそうしなければならい
秋の足音が聞こえてきた
私の後ろから、ひたひたと音を立てて
風も空も雲も、それを待ちわびているかのように
次第に色を変えていく
芝生の上を跳ねる蝗など、コンクリートで固められた街では見ることが出来ない
風に乗る蜻蛉など、曇った空では見られない
夏はどこかへ行ってしまう
どこに行ってしまうのだろう
もう川に魚はいない
彼らもどこかへ行ってしまった、どこか遠いところへ
空に鱗が昇るころ
目に映るは金色の海
虫の鳴き声
足音が聞こえる