さよならの砂
石瀬琳々

夏のテーブルは渚
水のように陽だまりがゆれる
私の貝殻はここにあります
波間にさすらった熱い砂は
もうゆるくほどけて


あなたの胸に頬を寄せると
潮騒が聞こえます
時折 やさしく
時折 はげしく
静かに微笑んで下さい
陽射しがかげるまで


いいえ もう時間なのですね
心はまだあなたに残しているのに
秋がすばやく私にくちづける
涙がひとしずく伝ったら
それが合図のように


こぼれた砂を払って
あなたは歩いてゆく
私は目がはなせないでしょう
日焼けしたあなたの肩越しに
光る波が見えるように
いつまでもこの瞳で



自由詩 さよならの砂 Copyright 石瀬琳々 2008-08-27 13:55:19
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