頑丈な衣
あおば

             080826



衣といえば
自給自足の時代
主婦が植えて紡いで
織って仕立てたものさ
買ってくるなんて
お大尽のところだけ
訳知り顔のお兄さん
弟の頭をこつんと突く
21世紀に生まれて良かったと
私は思うのですが
21世紀生まれには
服はあっても
兄が居なかったり
兄の代わりは
姉だったり
自分だけだったり
妹が欲しかったり
訳もなく友達に虐められたり
教育父母に攻められたり
学校が統合されたり
廃校になっていたりして
古里を離れると
いつのまにか
ピカピカ光る超合金製の
モビルスーツを着ることになっていたり
訳わかんないことになっていたりして
頭の訓練ばかり強要されて
父母の有り難さを感じることも少なくなって
どうしたらよいか分からなくなり
先祖を真似て
麻の種を播いたら
警官に踏み込まれ
豚箱に入れられても
保釈金の算段をしてくれる
父母はなく
兄も姉も弟も妹も
叔父も叔母も
居なくなり
お下がりの服はたくさん持っていて
着る物に困らないのに
なんということをしてくれたのだと
みんなから
叱られている




自由詩 頑丈な衣 Copyright あおば 2008-08-26 12:07:48
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