ホワイト ノイズ
エチカ

ざ。ざざざ。


桃のようにするりと剥けてしまった私の肌を
産毛のように時々ふわりとくすぐるあなたの目が指で
ぶるん、となぞるように見ている。

チクリ、と刺されたように耳たぶが、じんじん真っ赤になって息が漏れました。
しろくて甘い水桃のような甘い潤いを
あなたの手がなぞっていくだけで私、
糖液のような気持ちになってとろりと溶けてしまって 恋をしてしまっ た

ざざざ。
ざざ。

無人島に向かう途中できれいな歌声が聞こえたわ。
あまりに美しく響く石榴の音色に私酔っ払ってしまった。
何にもいらなかった、何にもなくなって何も欲しくなくなって。
初めていとおしいとそう感じた私の乳房。
ざ。ざざ。
途中で何度も聞こえたノイズ。
頭の中がざわめきたつような音。
太古の昔から聞こえていた懐かしいような、あの孤独の音色が私の体に痺れをもたらす。
心の臓に呼びかけている。
早くして。夜になる前に。

「砕いてしまってあなたの目で、噛んでください小指の関節を。」
首筋にうすらと浮かんだ桜の歯あと。
人魚のお尻の上でウロコのおもちゃにされてしまって、
深みにはまったあなたのはあと。
白い四角の真ん中にあなたがなぞる私の裸
ラマンが私においでと、そう呼ぶ声が聞こえた
ラマンはいつもじっと、見ている
声もかけずにただじっと。

私達は狂ったDNAのようだわ。

複製、反復、しかしそれはイミテーション
二重に絡まりあったはずの螺旋が
ベットの上でもつれ合ってじゃれあって
気がつくと糸くずのように絡まりあって解けなくなっている


「いま、島の向こうで人魚が跳ねたわ」


半分あなた。
半分わたし。
繰り返した私達の大切なイミテーションは今、進化を遂げようとしている
暴走を始めた。
体内で、波の合間に聞こえた胎児の声。

ざ、ざざ。
ざざ。

頭の中のホワイトノイズ


自由詩 ホワイト ノイズ Copyright エチカ 2008-08-25 01:09:49
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