レトロつみ
小川 葉

 
小高い
線路を走る電車から
同じ色ばかりの
屋根を見てる

同じ色の屋根の
あの色の
屋根の下で家族たちに
いったい何が
あったのだろう
と、思うと
もう次の駅に着いてる

駅を発つと
また別な
同じ色の屋根が見えてる

子供がつみあげる
ブロック遊びのように
レトロな風景が
なつかしく心に積み重なる

しあわせは
幸せとはおそらく
そんなふうに
車窓の
外に見えている

経験したことのない
過去を
経験したことのない
美しさとして

だから明日も
美しい
こんな景色ばかりが続いてる
過ぎ去った
過去のように今
今日の景色ばかり見てる
 


自由詩 レトロつみ Copyright 小川 葉 2008-08-24 21:27:49
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