voyager—孤独—
セルフレーム


人工衛星ボイジャー

忘れられた記憶の中で
知られていない宇宙の中で

僕らは生きている
僕らは動いている

任務を乗せて
言葉を乗せて

いつか会う「ダレカ」の為に


言葉
技術

全てを抱えて
進む

僕らの中のゴールデンレコードは

いつか会う「ダレカ」の為に

僕らのボトルメールは

いつか会う「ダレカ」の為に

壊れてしまうまで
息絶えてしまうまで

ずっと
地上と宇宙を繋ぐ為に

flybyの度に
思い出すのは
出発の時
抱きしめてくれたあの人達のこと

今でも覚えていてくれるだろうか

また
有人シャトルが打ち上げられる
僕らは機械がすべて

燃料不足の時には
一つずつ可能な範囲まで
機能を止める

誰もいない
広い闇の中で

黒い別の世界の中で
僕らはいつも想っている

「僕ラノ孤独ニ気付イテホシイ」

地球を離れ
僕らは
果てを目指して

夢を見ずに
あの人達の夢を乗せて

まだ見ぬ地球外知的生命体と出会う為に

太陽系外へと
インフレーションを続ける宇宙の果てへと
進み続ける

僕らの孤独も
あの人達の夢も

いつか会う「ダレカ」の為に

歪んだ空間を見つめながら
へリオポーズを

オールトの雲を
探し続けて

忘れられて
星を越えて

那由多の世界を抱きしめながら

孤独の中で
希望を背負って

過去の記憶が
全ての言葉が

嘘だとしても

僕らの中の言葉と
任務と
想いは

真実

信じていたい

だから
今日も明日を創る為に翔ぶ

僕らは
宇宙探査機

人工衛星ボイジャー



自由詩 voyager—孤独— Copyright セルフレーム 2008-08-22 20:19:15
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