夜球
AB(なかほど)
あたしの夜が
無重力になった夜が
球になって
落ち着くことも
弾けることもできず
あたしのすべてを包もうとしている
のに
あんたにゴクりとされれば
いいのにと
ちょっとだけ
ちょっとだけ思ったとこから
もう
球ではいられなくなって
そこから
ぺしゃんとなってしまう
昨日まで
そうだった
けど もう
あたしの夜は
あんたなんかにはあげない
ほら
上手に球になってるでしょ
あんたなんかにはあげない
どうして
星は夜に見えるんですか
三鷹の空から
一三○億光年先まで広がる宇宙の球は
ほんとに
球なんですか
あんたの唇が動く
ただそれだけ待っている
夜はどうしてすぐ
ぺしゃんてなるんですか
もう
手のひらにのりそうなぐらいに
ちっちゃくなったあたしの夜を
三鷹の空に解き放した
即興ゴルコンダ より