夜球
AB(なかほど)


あたしの夜が
無重力になった夜が
球になって
落ち着くことも
弾けることもできず
あたしのすべてを包もうとしている
のに
あんたにゴクりとされれば
いいのにと
ちょっとだけ
ちょっとだけ思ったとこから
もう
球ではいられなくなって
そこから
ぺしゃんとなってしまう
昨日まで
     そうだった
けど もう
あたしの夜は
あんたなんかにはあげない
ほら
上手に球になってるでしょ
あんたなんかにはあげない


どうして
星は夜に見えるんですか
三鷹の空から
一三○億光年先まで広がる宇宙の球は
ほんとに
 球なんですか
あんたの唇が動く
ただそれだけ待っている
夜はどうしてすぐ
ぺしゃんてなるんですか

もう
手のひらにのりそうなぐらいに
ちっちゃくなったあたしの夜を
三鷹の空に解き放した






即興ゴルコンダ より




自由詩 夜球 Copyright AB(なかほど) 2008-08-22 19:37:52
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