灯台
千波 一也



灯台は
海をさがしている

それゆえずっと
船にすくいの
手をのべる



灯台は
自らの眼を
ながらく持たない

おのれを見つめるものたちの
ことばの向こうを
ただ聴いている



海は
遠くで海を呼ぶ

その
容易ならないかなしみが
いつしか岸辺を
なしてゆく

灯台は
そういうところに
たっている



船は
ひとつの大きな
海をなす

ちいさな無限に
砕かれながら
海をなす



灯台は
海をさがしている

それゆえ船は
終わらない

海が
ことばを
止めないかぎり








自由詩 灯台 Copyright 千波 一也 2008-08-22 14:56:08
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