函 館 2
るか

        かなしみを
        おもいだすために
        すぼめられる
        唇から 
        洩れる 
        外国の うた、
        かなしみの 底に、
        いまも流れる
        ながい河を
        辿る ように、
        口笛は 
        なくのだろう。 


        雪は 
        微笑を宥める 暖かさであり、
        愛が この終焉の市で
        どこにあるのか
        は、
        はじめから 
        分かっていた ───




        失いつくす
        ことなんて
        できない。
        雪は
        降りしきり
        ながら
        訥々と 諭して
        いた。




        夜が
        あける まえに、
        雪は 
        あおく輝く
        みぞれ
        に。
        忘れられた 電停を
        色が足りない 信号機を、
        淡く 透かして。
        踏みしめる
        足音だけが
        いつまでも
        続いて ゆくだろう。


        降りしきる
        意味の 断片のように
        降りしきる。
        この雪
        しか知らなかった
        かのように
        降る雪は
        いつか
        意味を はなれ
        なつかしい
        未来のように 
        踊る か ───


( いつも
その柵のあちらでは
/硝煙をあげる/骨があった
若草に守られるように
無音の街路に唸りを漲らせ
 ことばでは なかった
剥落し、懐かしい光の意味だ
毀れた地の
震える優しさだ )




        くらい眸のような
        黎明の市道を
        つつんでいる
        愛
        雪のなかで 芽吹くもの
        の 微かな 声




        いまも
        こうして
        いる。
        口笛
        を
        吹きながら
        あかい耳を
        そばだてて。
        ごく
        近い
        ものたちの
        叫喚を 
        冷えた
        胸のなかで
        燃焼
        させ
        ながら






        ルル
        おお ルル ───





















         

























自由詩 函 館 2 Copyright るか 2008-08-21 23:55:29
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