美しい音
ミズタマ

とくとく
という
私の心臓の音
静かな部屋の中で
わずらわしくて堪らない

しかしそれは

この世で一番美しい音

そのわずらわしくも美しい音を
私は破壊し得ないということに 
やっと気付いて
恐ろしくなって
いつも笑顔だが無機質な人形を睨んで
硬いベッドの中で

さなぎになりたいと思った 

とくとく と
とくとく という音に
怯えながら。


自由詩 美しい音 Copyright ミズタマ 2004-07-23 22:34:10
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