ライム
星月冬灯


 あなたが好きだったライム

 一口囓(かじ)った

 口の中に広がる酸っぱい味


 こんな真夏の眠れない

 夜には


 あなたの顔が浮ぶ


 あなたの細い長い指が

 握るライム


 あなたが美味しいと

 言ったライム


 でも私には

 少し苦いみたい


 ずっと一緒にいようねって

 約束したのに


 それは儚い  儚い

 夢で終わってしまって

 それは切ない  切ない

 幻で終わってしまって


 星になったあなたを

 想いながら

 私はまた苦い  苦い

 そのライムを囓った



自由詩 ライム Copyright 星月冬灯 2008-08-20 12:57:01
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