シャボン玉の行方
セルフレーム

シャボン玉消えた


ねぇ、何処に行くの・・・?

飛ばずに消えた


何で連れて行けないの・・・?

生まれてすぐに


母さん 父さん 姉ちゃん 兄ちゃん

壊れて消えた


忘れないで

風、風、吹くな


ごめん

シャボン玉


ごめん

飛ばそ


兄ちゃん・・・


シャボン玉の行方


また、兄の夢を見た。
生まれてすぐに死んだ、双子の兄の夢を。

もちろん、一緒に生まれてきたのだから、兄の顔を見たことは無い。
でもその夢の中で僕は5つくらいで、
死んだ、まだ赤子の兄を遠くから見ている。

とても、悲しい夢なのだ。

でも13歳になって、初めて思うことがあった。

会ったことの無い兄が、たまらなく愛おしいと思う時がある。

中学校に入ったというのに、兄に手紙を書いたら返事は返ってくるか、とか、
今生きていたらどんな事をしたんだろう、とか、
七夕の短冊に「兄に会いたい」と真面目に書こうか悩んだり、とか。

そんなことを思って最後に口ずさむ曲はやっぱり、

シャボン玉

だった。

唄い終わって辿り着く言葉は、

「此処にいる」

なのだ。

今こんな事を考えている僕の中に、きっと兄は笑って立っている。

シャボン玉 飛んだ


シャボン玉になれたらな。

屋根まで飛んだ


何処までも飛んでいけるだろう。


―ほらまた僕は、こんな事を考えている。


シャボン玉の行方


―シャボン玉、飛ばそ。




自由詩 シャボン玉の行方 Copyright セルフレーム 2008-08-19 21:34:25
notebook Home