ストレス・フリー
渡 ひろこ
地の底の歌を聴き
暗がりの言葉をまさぐり
ざわめく井戸端をなぎたおし
しどけなく横たわる絹のストールを引き裂き
ヒリヒリと苛立つ昨日を脱ぎ捨て
ゆがんだ唇を真っ赤に塗りつぶし
したたかな欲望にためらわず身をゆだね
うたかたの慕情を噛み砕き
熔けだす想いをテイサイという鋳型にそそぎ
バリバリとはがれ落ちる銀色のメッキをかき集め
それらを束ねふり上げて
ひとおもいに
まっさらなディスプレーに
殴
(
ぶ
)
つければ…
きっとわたしもストレス・フリー
自由詩
ストレス・フリー
Copyright
渡 ひろこ
2008-08-19 20:16:38