無数の小人がテクテク歩く
きりえしふみ

 ちっちゃな小人がテクテク
 あたしのココから 彼方君の
 君たちのハートへ向かって歩く
 沢山の形を抱えて 色とりどりの気持ちおぶって 持ち上げて
 息切れしながら 『大好き』を背負う
 まるで借りて来たようだ 不似合いな『余裕』というバッチ
 煌めかせながら 『平気』を着込んでみたりもする
 誠実に見えて時に様変わり
 あたしの不安定で大胆な
 愉快で憂鬱な ハートの中を歩む
 走る スキップする 幾つもの
 うんざりする 思い切りの良い時もある 気持ち
 カテゴライズ仕切れない色違いの横顔
 を張り付けた 無数の小人が
 あたしのココから君の
 君たちのハートへ向かって 突撃する 進行してゆく
 逃げ込もうと足早に駆けてって
 ピシャリ! 扉を閉められることだってある
 のに
 駆けて行かずにいられない あたし
 あたしのハートはドキドキ グラグラ
 煮え立っているから 動いているから
 停止するまで 何人もの小人

 (丁度今九十九人目の恋心を伝達する使命を担ったあたしの小人が息を吹き返した!)

 幾つもの思いに袖を通して
 歩まなければならない 転ぶことをしなくちゃならない

  たった一人でもいいんだ
  その無数の数多のたった一人でもいい
  君へ 君たちへ差し出される ちっちゃな小人の手のひらで
  ちっちゃなあたしのハートが潤んでいたなら

 それが恋する君相手になら 尚のこといい
 他の誰かに手渡すよりもっと 抱え切れない勇気
 知恵がいるもの

 恋の『好き』は いとも簡単に卵の殻を割る
 喋り出す 駄々を捏ねる 叫び出す けれど

 その『好き』を 伝える、のは
 難題だもの

 ©shifumi kirye 2008/08/17


自由詩 無数の小人がテクテク歩く Copyright きりえしふみ 2008-08-17 06:45:12
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