カラカラカタカタ
紫音
雨も夜明けも飽きてしまった
漫然と死にゆくために
生きているわけではないはずなのに
すっかり感覚も磨り減って
のびきったゴムのように
慣性さえも失くしてしまった
あたり前の情景が
八ミリビデオのようにコマ送りの細切れで
切り取る術すらないまま
いつしか今日はテープが切れて
カタカタとリールだけが回っている
何を映し出すつもりだったのか
趣きぶかいセピアですらなく
カラーですらなく
落書きの線画のような
自分
腐りゆく自分
もう
切れてしまったのだろうか
そんな恐れさえ 心地よい
いっそ全てデジタルにして
上から水をかけて静かに埋葬すべきだろうか
なにも
残らない
ように