キャッチ・アンド・リリース
小川 葉

 
ただいま
あの渓流沿いの
真夏の道をはしる
僕の源流よ

さようなら
また会う日まで
流れていますように
道を流れる水が
きっと僕が人である
その日まで

こんにちは
いつかの君よ
いつかの僕のように
人を見るような
その目で
釣り上げた岩魚が
人のように
僕を見つめてる

ありがとう
故郷よ
もうそこに
あの頃はないけれど
そこで産まれた

掌から
すり抜けていく
岩魚が帰る淵のあたりに
たしかに僕の
家がある
 


自由詩 キャッチ・アンド・リリース Copyright 小川 葉 2008-08-16 22:48:00
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