夜とまなざし
木立 悟




土壁に
埋もれかけたものの目を見る
目はひとつ
緑に笑む


魂を摑まれている
銀の髪を見ている
無を動くたび
どこからか声がする


蜘蛛の巣の風
雨の息
木と錆につながれ
波と火を分ける


道を進む
白い鉄
空になりながら
夜になりながら


雨のなかを雨が軋る
雨が雨を伝い昇る
音は残り
道を見つめる


乾いた水の跡に降る水
ふちどりは音
ふちどりは音
息と水のはざまの手


七つの啓示
一と一にはさまれた六
ひとつは見えない
ひとつはばたく


幸福に
溺れかけたものの目を見る
目は無い
目は笑む




















自由詩 夜とまなざし Copyright 木立 悟 2008-08-15 23:38:46
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