縁側の、した
長谷川智子




陽が直線に降り注ぐ、ある夏の日

蝉の声を聴きながら
ちいさかった私は、あるものを手に庭へ出た

さっと縁側の下をのぞき込んだが、まだ、いつもの場所にあの子は来てなかった

そしてガラスの小皿にのせたそれのはじっこは、はやくも溶けはじめていた

「あっ!」

ひっくりかえった小皿。
一瞬気をそらしたらこの有り様……



「ミャア...」

あ、来た☆

《ペロペロペロ...》

いつも万年日陰をあてにしてくるこの子が、やっぱり可愛い



散文(批評随筆小説等) 縁側の、した Copyright 長谷川智子 2008-08-15 21:44:45
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