ひとつぶの容器
かんな
手のひらをかざすと、
ひとつぶが生まれたてのように私になついた。
つめたいだけのものなど生まれてはこない。
葉からしずくが落ちては、
たくさんのひとつぶが足もとをぬらした。
えらばれるためになど生まれてはこないのに。
手のひらのひとつぶをつかまえて放さない、
ちいさな独占欲がわたしの中にあった。
ほんの一瞬の、心をしめらせた雨だった。
自由詩
ひとつぶの容器
Copyright
かんな
2008-08-15 21:19:03