ふたりで旅を
こばんねこ




それは、あまりにも失いがたかったのですが
みずいろの中で
其の風がひとり花占いをしていたので
とても寂しく思ったのを覚えています。


花は
時にわたしのなかを駆け巡ると
小さな手を夢に絡め
可憐な笑顔で試験管の気体をつくりあげたり
また、ことばどおりの涙を浮かべたりしていました。




  枯れました
  とうのむかしに
  咲き誇り
  惑わし
  枯れました
  其の花は
  いくつもの、
  枯れました




首元に鈍く光る安物のガラスケースは
ピリオドを打ち込んで
尚も
傘のなかの日射しに甘んじているのでしょうか。





自由詩 ふたりで旅を Copyright こばんねこ 2008-08-15 13:39:21
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