ごあいさつ
こばんねこ

さようなら、
がこぼれたときに
ついた足跡が泣いている様で

ダンボールから、のぞく
空の目は
ただ無色の息を吐いていた



寄ってらっしゃい
見てらっしゃい

時間に置いて行かれた
ことばと、涙にまみれた野良猫を
光る文字盤に穴を空けた
世間の見えない野良猫を



誰もいないさよなら、が
いつもより単純に
率直に
屈折しながら

暮れる

もう二度と帰らないさよなら、は
廻る有刺鉄線の上で
素直を装ったおやゆびと

暮れる





自由詩 ごあいさつ Copyright こばんねこ 2008-08-14 22:05:17
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