これから
千波 一也



これからぼくは
いくつのことばを殺すだろう

それを
知らずに生きぬいて
いつか必ず殺されるだろう

ことばへ死にゆく
ぼくなのだから



これからぼくは
いくつの廃墟にうまれるだろう

壊れたすべては
二度とはうしなわれない

透明に
色彩を盗むゆめのなか
しずかになされるはじまりの火を
ぼくはどれだけ
覚えるだろう



これからぼくは
いくつの死から嫌われるだろう

明るいものを
明るいままに遠ざけて

繊細に
ただ繊細に
のがれるぼくは
いくつもまもりを壊すだろう

追いかけてゆくことは
かなしいいのちの習いだと
ぼくはまだ知らずに
いる



これから、

これから、

ぼくのなかのぼくだけが
あふれてしまう

ぼくのためのはずの
ぼくの外側へ





自由詩 これから Copyright 千波 一也 2008-08-13 23:01:08
notebook Home 戻る