暮らすように歌う/クガツ
モリマサ公

暮らすように歌う

寒ゼミの最後の声が
あかるいよるの雲の腹の
内側であふれている

世界ということばがあまくかじられて
「明日死ぬかもしれない」と
しろい猫が鳴き
びっしょりとハイビームをあびて
まっくろいアスファルトを横切りながら
あたしはクガツをみる
ジュウガツをみる

からだが咲きこぼれる
と音読しながら
ビジョンくりかえし舐める

リセット
リッター13キロで最愛のカローラは
午後10時で半額の外環をはしって
闇のなかをクジラが泳いでいる

小金井でわずかなピロートークをかまし
わずらわしくないようそっと噛み付き
リミットがあいまいにこわれていく

調布からの
いくつものあたらしく美しいカーブ
を抜けながらあたしは加速していく
午前3時

午前4時に仕事がはじまる
空が揺れている
揺れながら音も無く開いていく






自由詩 暮らすように歌う/クガツ Copyright モリマサ公 2008-08-13 21:34:14
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