残照、とりのこされて
たりぽん(大理 奔)


ゆるやかな緑の山稜から
墜落した日差しに
めまいがする
真昼の木陰はさらに黒くて
鳥たちも飛ばない季節風
私の見えないところにも
染みこんでいく

切り絵の空に逆光のきみが
遠くで積乱雲を焼くまぶしさと激しさで

   遙かな光ばかり追ってしまうのは
   とどかないものばかり美しく
   記憶を、思い出に変える
   残照がうらやましくて

いつしか
夜の湿度に立ち尽くす
残像をそのまま投げあげると
夜露が瞳を濡らしてにじむ、流星まで
闇に飛ぶ鳥が
羽ばたきだけを聞かせて

私の見えないところに
旅立っていく





自由詩 残照、とりのこされて Copyright たりぽん(大理 奔) 2008-08-13 20:39:52
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