「 電池 」 
服部 剛

50を過ぎた看護婦さんが 
休憩時間も惜しみ 
寝たきり患者の爺さんに 
パンを千切って食べさせる 

勤務を終えた夕方 
棚に書類をしまう
白衣の背中から 
電池が一つ、ぽとんと落ちた 

もう長いこと 
一緒に働いてきた僕は 
床に落ちたそれを拾って 
「おつかれさん」と手渡した 





自由詩 「 電池 」  Copyright 服部 剛 2008-08-12 22:51:28
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