腐乱屍体
長谷川智子



細胞の一つ一つまで見たくなる
ちりぢりにほころんだその一部を
手にとる

たしかに死んでいる
外側はくすんだサーモンピンクに近い
端に至っては白く生気を失っている

水から引き揚げたそれは
もとあった船底にいたプランクトンも
食べたのだろう

本体は探したが見つからない
かすかな光が射す青緑色の中の
どこかにいるはずだ




自由詩 腐乱屍体 Copyright 長谷川智子 2008-08-12 22:12:31
notebook Home