傑作
あおば

              080812




抜け作が傑作書いた
村中大騒ぎ
金メダルを贈ろうか
それとも奨学金
検討委員会が作られて
抜け作の進路を決めることになる
抜け作は中学2年生
まだ十分検討する時間はあると委員会の肝いりも
あーだこーだといいながら
のんびりとタバコを吹かしているうちに
タバコが切れた
会議室を抜け出して近くの販売機にたどり着く
タスポを忘れてきた
買えないと吸えない
吸えないとイライラする
取りに帰ろうかと思ったが
家まではかなり距離がある
ふと横を見ると抜け作が下を見ながらやって来た
図書館に行く途中だ
好いところに来た、この先のコンビニでホープを一箱買ってきてくれないか、お釣りで、ジュースでも飲んでくれ給え
おおように1000円札を握らせて
自動的に会議室に
ホープの到来を待っていた
待ちくたびれて
蜩が鳴きだした頃になり
抜け作が補導されたと聞いた
委員会は自然消滅となり
奨学金の話もなくなった
子供にタバコを買いに行かせるのは当たり前だった頃にはなんでもないことが、現在では非行となる
肝いりはそのことを忘れていたわけではないのだが
歳をとってからだが少しだけ堅くなり、歩くのも子供の頃みたいにはゆかなくて、歯がゆい思いをしていたのが、素直な目をした抜け作に会い、二昔前の感覚を取り戻したようです。


自由詩 傑作 Copyright あおば 2008-08-12 18:43:50
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