朝 の、
るか

  かさついた
  ふるい
  手紙を
  燃やして、
  灰は
  深い色をした
  ( 既に遠い )
  海へ
  棄てた。


  未来のように
  宛ての
  しれない
  故郷へ
  灰 は、
  届く
  だろう
  か


  朝 は、
  たえきれない
  紐
  のように
  わたし
  たちの
  しずかな
  愛を
  繋い
  で


  「 なにもかも
  始まって
  いないにせよ、
  すべて
  了っている、
  にせよ ─── 」


  既に遠い
  抒情の岸辺に
  立ち、
  空虚なこころ
  と
  空虚なこころ
  とが
  求めあい
  うらぎられる
  朝、
  わたしたちは
  余震
  のような
  挨拶で、
  かすかに
  結ばれ
  て
  いない
  訳では
  ない
  か


  なにもかも
  始まって
  いないにせよ
  すべて
  了っている、
  にせよ ───


  中央の
  なまめかしい
  傷跡を
  散策する
  ような
  朝、


  ( 手紙を
   したためます、
   約束の手紙を、
   一度きりの
   私信を )


  ふたり、


  唇の血は
  今朝も


  くらく
  滲んで










自由詩 朝 の、 Copyright るか 2008-08-12 08:12:34
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