それが生きると言う事の。
プル式
とんぼの様にぐるりと回る目ん球で
時計の針のような時間をぐるぐると眺めた
少しずつずれはじめた周りと僕はしかし
真っ直ぐな重力で決して切り離される事無く
ただ回り続けた
ただ回り続けそうして
いずれ解き放たれる日を夢見ている
カチリカチリと鳴りやまない針の中で
心の内だけはしかし1ミリたりとも前には進まず
寧ろ背中を見ようと同じ場所をクルクルと回り続ける
そこに何かがあるとは思ってすらいない
ただしかし向かなければならないのだ
例いそれがそこに本当に何も無く
愚かに見え様と不様に笑われようと
とんぼの目の様にぐるりと回る目ん球を見開き
ぐるぐると回る時計といっかな前には進まない心を
両の手にしっかりと握りしめ
握り潰れそうに悲鳴をあげるのを決して
決して聞き逃してはならない
それが生きると言う事の。
※いっかな=少しも、いっこうに