夢を見ないで眠りたい
松本 卓也
室内灯の明りを落とし
明日の為にと目を閉じて
今週は何を片付けようかと
算段を繰り返している
かつては夢を見ない夜が嫌いだった
意識が途切れてから数秒後には
当たり前の朝を迎えていたから
昨日見た夢で僕は誰かを罵倒していた
一昨日見た夢ではデスクに突っ伏して
表に根拠で装飾された数字を書いていた
凡愚が見る夢は何時だって
現実から離れられないままで
ただ疲れを癒すための
小休止でしか在りえない
会社に入る前までは
根拠など要らなかったのに
会社に入る前までは
夢が嫌いではなかったのに