プロミネンス
千波 一也


鎖骨の
においが
こぼれ落ちたら、

さかなのゆめに朝がくる



ことば未満の愛を交わして、
ゆっくりとたしかめる
てあしの記憶

水の
においの
シーツを背中に
羽をひろげるまねをして




 ふたり、
 月を宿している

 鍵穴とも呼べそうなそれは
 ひみつ、ではないから
 ほどよく闇を
 ひかって
 みせる


 真夏の午後へわたる風には
 いつでも素顔を
 そよがせて




やがては滅ぶたいようの
かなしみはまだ、聞こえない



いたずらじみた眼差しで
数えてよろこぶ
くちづけに

ふたり、
つがいの色になる






自由詩 プロミネンス Copyright 千波 一也 2008-08-11 00:35:13
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【きみによむ物語】