黄色い蝶2
あすくれかおす




天辺から雀がちゅんちゅんと

朝をまっすぐに降りてくるのが月曜日

とりとめもなくニュースは流れているように見えて

私は本当の川べりを散歩したいと思って家を出た



ほら この朝のこの感じですよ

どうしても伝えられないことがあって

それは順序とか相手とかそういうことではなくて

何かそのとき その時間の私だけしか持ってない気持ちで

私は言いようもないことなのに 誰かに「あるでしょ?」と質問したくなる



私の朝の日課はこれ

ふわふわと川べりを歩く それだけである

ずっと東を向いて流れる川面を見つめていたら

とてつもないことをやってやろうとか

今日を巧みにやり繰りしようとか

そういう気持ちが笑ってしまうから好きだ



小さい頃から水辺が大好きで

海のそばで育ったから

足をじりじりした砂が掴む感じ

追いかけなくてもやってきて

追いかけなくてもさっていく潮のうごき

どれもこれもこの16年間 一度も嫌いになったことなどない



川のそばで海のはなしなど

川に嫌われてしまうかな

飛び石のふちでちょうちょが休んでる

緑のなかで彼女は黄色くて

それは朝と私と川と言いようもないこと

全部が重なって 抜け落ちていく

そんな感覚をあらわしたちょうちょに思えた



6時半以降のニュースはとりこぼしたけれど

それはどうせ 7時半以降に分かることなのだ

私は今 何か大切なことに近づいている予感がしている

それはニュースではなくて多分 

言いようもないやり方でやってくるに違いない



「私は楽しみでたまらないよ」


黄色いちょうちょに話しかけたい気持ちになったけどもういない

私はそれでもいいかなという気持ちにもなって

川に寄り添って 

朝日が手をふる方向へかえってゆく 
 
 
 






自由詩 黄色い蝶2 Copyright あすくれかおす 2008-08-07 22:26:59
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