不幸な時代
青い風
I君は言った
貴方の右目は本当だが
左の目は嘘をついている
I君 君は正しい
私が語ったことは
心底そう思っていることで
私が喋ったことは
受け売りだった
I君は言った
あの1週間は長かった
1週間が1年のように感じた
僕は何も知らない田舎者だった
この1週間でずいぶん成長した
成長しすぎたことが
僕は怖い
I君 君は正直だ
正直すぎることが
君を苦しめているんだね
しかし 不幸なのは私達だ
自信満々の
看護士たちに連れられて
君は休むべく
金網の中に去って行った
君の休むべき場所が
この世界にないことが
私には 悲しい