仮継(朝)
木立 悟






かすかな明かり
すぎる意志なく
すぎゆくもの


岩に記す波
幾重にも
風を模して


泉には窓が沈む
塹壕と青空
水の呼び名が飛び交う


空の怒号
左脚の息が止み
ふたたび 夜のものさし


待ちわびるもの
待ちかまえるものに訪れはなく
静かな土に 生えるとどめ


怪物が
エスファハンを咬む
水を鳴らす灯


迷いは亡い
光を受けろ
海へ あおむけに流れる血


月を横切る牙
音は遅れて到く
洞と空の狭さ


こぼれ落ちる色のなかから
動くかたち 起きるかたち
やがて唱 やがて道


鉄と陽の自画像
曇が曇に倒れる音
方角を失くした朝に降る
















自由詩 仮継(朝) Copyright 木立 悟 2008-08-06 17:33:30
notebook Home 戻る