たったひとつの結晶でも
kauzak


地に足が着ききらない物語
表面にとどまる心象描写

もっと深いところがあるんだ

したり顔で批評するのは

簡単だけど

人の声を得て
人の身体を得て

息を吹き返した言葉
生命を持った演技
たちが
たったひとつ零した結晶は

確かに僕の心に届いて

幕が下りて起きる拍手に混じって
客席がざわめくほどに
同年代の彼女たちの心にも響いて

それはありきたりの
結晶かもしれないけれど

それは一瞬のきらめきに
過ぎないのかもしれないけれど

僕にはそれだけで充分だと思えた


自由詩 たったひとつの結晶でも Copyright kauzak 2008-08-06 00:00:04
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