最後の雨
ふたつ
芸術が好きなので、神は空に絵の具をまいた。
控え目に流れ落ちるそれは雨となる。
白く細長い雨だ。
繊細な鋭さをもって少年を貫く。
殺意はない。
柔らかな愛。
気まぐれな神は、残酷なほど静かに慈悲をそそぐ。
甘んじて受け入れた少年は死んだ。
綺麗な光景だ、と白い小鳥は思う。
思わずリズムのない唄を口ずさむほどに、小鳥は心を動かされる。
数日前の朝に似ていた。
世界の終わりを見た。
廻るのか、と呟いた時
全て、死んだ。
自由詩
最後の雨
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ふたつ
2008-08-04 21:58:53