公園
ふるる

本屋へ行った帰り道
公園に入った

ぐるっと公園を囲んだ木が
濃い影を作っていて
意外に温度が低い
真夏の午後二時で
誰もいない
セミがやかましい

水飲み場のあたりは水びたしで
きっと子供が遊んだんだろう
砂場へと水跡が続き
掘った砂はもう干上がっている

この公園でよく遊んだな
小さい頃
サンダル片方なくして、母さんに怒られて
その最中に変なおっさんが公園に入ってきた
酔っぱらってたのか、大声出して歩いてた
そしたら母さんが
急に怒るのをやめて
さっと僕を抱えてその場から逃げた

抱えられて走るのが
面白くて楽しくて
あの時ほんと
面白くて楽しくて
嬉しかった

だけどこのこと
きっと一生言わないだろうな
言うチャンスもないし
どう言ったらうまく伝わるかわからないし
最近は
必要なことしかしゃべらないし

今ここには誰もいないけど
子供だけで遊んでて
変なおっさんが入ってきたら
僕はどうしよう

このベンチ、持ち上がるのか


無理だ

砂だな
砂をぶつけて目くらまし

うん
そうしよう
そうしよう

なあ、セミたち



自由詩 公園 Copyright ふるる 2008-08-04 15:09:45
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