私達は炭酸水の泡のように
小禽


私達は炭酸水の泡のように

ぷつぷつとガラス瓶の底から立ち上ってゆく泡のように

生まれてすぐに吸い上げられるように駆け
天辺を転がって弾けてしまう

たまに大きなのがいたり
派手に弾けるのもあるが
大抵は皆小さく、透明でまるっこい

どぼんと氷を落とすと
無数の泡が戦争にいった人々の命のように
しゅわしゅわと音をたて弾ける

放っておかれた炭酸水は口にすると水でなく
抜けきれなかった泡が舌の上で小さく弾け
少し機械的に匂って消える



自由詩 私達は炭酸水の泡のように Copyright 小禽 2008-08-04 08:17:44
notebook Home 戻る