わたしの中のなにかたち
小川 葉
なにか
過剰なものが
わたしの中にあります
それは
熱帯夜であることに関係なく
わたしの中に
箇条書きされていきます
かつおの刺身を
口にほうりこんでも
かつおの味はしませんでした
慣れてしまったものと
なれなかった自分自身とが
わたしと世界を
隔てているのです
蝉の声はしませんでした
それなのに
あなたは聞いたといいました
わたしはなにか
過剰なものの声ばかり
聞いていたのです
思えば
いつもそうでした
わたしの中のなにかたちは
生まれたときからずっと
わたしに
なろうとしてるのです