蒼光
くろね

白い風が高くから落ちてくるから
静かなる木々は光を持て余してざわめいた

浮かされた心はじわり汗ばんで
翳る度にいつかの幻を見る

この空の蒼さは罪を隠すかな

咲き誇る花の色はただ
一滴の夏を滲ませた


いつしか物語はほつれ始めて
描かれた者達は祈りを口にしてふためいた

降りしきる光がふわり舞い散って
忘れられないあの日の優しさを聞く

あの夢の続きを永遠に見ようかな

鳴り止まぬ蝉の声にまた
一滴の夏が落ちた


消え入りそうな甘い激情
微かに積もった淡い感傷
密やかに、汲んで、摘んで


どの月も等しく君を照らすかな

冷めやらぬ夜の草はただ
一滴の夏に濡れる


自由詩 蒼光 Copyright くろね 2008-08-03 21:50:33
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