そらせみ
umineko

空っぽ だよね
歌うために

まぶしい緑の
そのはざ間から
降り注ぐ 生きる意味よ
せみの命よ

蜜を吸う
歌うために

その
けたたましい鳴き声の
中にまぎれて

誰かの
短い断末魔を
君は聞こえるか

あるいは
聞こえないふりか


空っぽ だよね
歌うために

もう
実体は死んでいるから

思い出とか別離とか
そういうもので出来ている

夕立の
激しい間だけ
君たちは黙る

強い雨が
葉陰を叩き
君たちの意味を
消し去っていく


歌おう

私は空っぽだ
だからこそ歌う

私の
夏の間だけ
やさしい時間をもてたこと

空っぽの胸で
歌え

歌おう
 
 
 


自由詩 そらせみ Copyright umineko 2008-08-02 12:41:43
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