ビヨンド
たもつ



夏風邪をひいた駅員が
プールの縁に立って
はしごを眺めている

咳きこむと
口の中で
戸籍は勝手に
書き直されてしまう

向こう側とあちら側が
波のように打ち寄せる
こちら側がゆっくりと
窒息していく

近くの平らなところでは
羽が邪魔して
今日も鳥は空を飛べない



自由詩 ビヨンド Copyright たもつ 2008-08-01 17:32:57
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