狐の蒼い瞳に
板谷みきょう
瞼を閉じないで流した涙に
自由の空を仰ぐ想いを
声にして届けよう
それこそ自由
何処へでも行ける心が
あるのだから
空の蒼を瞳に宿した狐は
俯くことを止め
泪を溜めて夜空を仰ぐ
叶わぬ願いと知りながら
苦しみがわかる 星の瞬き
寂しさがわかる 月の囁き
あぁ ・・・
森へと続く小路は
浜辺に通じているのに
森に棲む狼に怯え
草原の狐は森を恐れる
百里の先の人魚のこと
不機嫌な空に 愛想笑いをして
見えない泪を ぬぐいましょう
これ以上失わないように
哀しみを喜びで包み
優しさをくれた人魚を
吠え声は汚らしくても
狐は
声をあげて想うのだ
失くしたものを探して
救いの岸辺に
たどり着いた喜びを想像しては
いつまでも草原を彷徨うだけの
嘘と偽りに満ちた海に泳ぐ
人魚に焦がれて
どこまでもどこまでも