雷姫
セルフレーム




あの時、私が雷を落とさなかったら、
貴方は死ぬ事が無かったのですか?
私には、解りませぬ。
運命も偶然も。

全ては貴方の望むままに。


『雷姫』


あの方は、雷なんて落とす事は出来ませんでした。
でも、幼い頃に親を亡くされ、一人ぼっちで過ごしてきました。

神様は、哀れに思ったのでしょう。
せめて天気はあの子の思うままに動くよう・・・
そんな御力をあの方に上げました。

あの方が晴れを願うと雲を晴らし、天道様に顔を出すよう伝えました。

ある夜、あの方は一人の男性と出会い、毎日のように会っては御喋りをしていました。
でもある日喧嘩をし、雨と雷を落としてくれと願いました。

神様は、この子を寂しい思いにする者、傷つける者を消してきたのです。
雷を、男性へと落としました。

あの方は、泣きました。
泣き腫らした瞳はそのままに、大雨で氾濫した川に身を投げました。
神様は、哀れむ天道様に、一月顔を出すなと伝えました。
ちょうど、6月の初めの日でした。

梅雨の季節は、神様が雷姫の為に涙を流す季節なのです。
憂鬱に成るのは、神様も同じなのです。




自由詩 雷姫 Copyright セルフレーム 2008-07-31 13:13:40
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