愛されていた
北斗七星
ネクタイを締めることを望まれ
そんな暮らしなど思いもつかぬほど
離れたところにいた僕は
好奇心はあったが背筋が伸びる感覚より
繋がれた犬のように感じてしまう
自分自身の視線が中途半端に溜め息が漏れた
渡された新型の携帯は
目新しい形と機能が嬉しかったが
僕自身の機能性の悪さを
埋めてくれるものでもなかった
新しいことへの挑戦は
描いたものと予想していたものが
交互に波のように押し寄せ
僕は漂っていた
誰かの期待が嬉しかった
誰かの期待が悲しかった
自分自身の聞こえない声が聞こえる
自分自身の見えなくなっていた両手が見える
この目に見える自分を見つめ
この手に触れる自分を感じ
この目に見えない自分を信じ
この手に触れない自分を信じ
ひとりではない自分自身を
冴えない頭で愛してみたい
冴えない頭で冴えない僕は
見えない自分自身に愛されている
僕は愛されていた
僕は愛されていたんだ