幸福と永遠
結城 森士

時間というのは観念的なものです。
具体的な事象で時間をあらわすものと言えば
まず思い浮かぶのは時計ですね。
しかし、俺たちの周りには
時計以上に時間を表現するものが
至る所に溢れています。
それは、物質です。
物質は絶えず変化を繰り返しています。
変化のない物質などありません。

つまりある物質や事柄の変化する様を見て
その変化を、時間だということが出来るのです。
そう考えると、時間≒変化とも言えます。

物事が永遠に変わらないものであったとしたら
時間というものは存在しないでしょう。
同時に、時間が存在しなければ
物質というものは存在しないでしょう。

常に変化する流動体であることが
つまりは生きているということであり
必ず始まりがあって終わりがあるということが
この世に存在するということだと思います。

「全ては変化します。
 変化するからこそ、存在していられるのです。」

永遠とは観念的な事柄です。
永遠が具体化することはありえません。
永遠なんて、この世には存在しません。

でも逆に言えば、永遠が存在しないからこそ
一瞬の幸福に意味があるのではないでしょうか。

「物事は変化するからこそ存在するのだ」という考えから
「感情は変化するからこそ意味があるのだ」と言えます。
とすれば
「幸福は続かないこそ、その一瞬に意味がある」とも言えます。

俺たちは、失うのが怖くて、変化するのが怖くて
その一瞬に永遠を信じるのでしょうね。

でも、変化しない幸福なんて、存在しないのと同じでしょう。


散文(批評随筆小説等) 幸福と永遠 Copyright 結城 森士 2008-07-30 20:01:30
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