沈まぬ夕日
吉岡ペペロ
モンゴルはウランバートルで
商用を済ませてホテルに戻る
この国の利権に群がる男たちは
みんな精力の強いイケズそうな面をしている
日本じゃいまどき見られない面だ
暗い喧騒が漂う酒場は嫌だったから
ホテルのレストランでクソマズイ
ナポリタンを通訳と食べていた
開きっぱなしのカーテン
いい加減に拭いたあとのような
汚れの目立つガラス窓から
日本とおんなじ夕日が射していた
ほんとうに日本とおんなじだった
そういえばウランバートルの街の
そこかしこの色彩は
中国でもロシアでも韓国でもなく
日本のそれとおんなじだった
夕日はしばらく沈まなかった