星月冬灯


 風はどこからくるのだろう

 風はどうしてふくのだろう


 僕にはわからない

 この時代にふく風が本物であるかどうか

 
 じいさんは言った

 風は知らず知らずしてやってくるのだよ

 その風を拒むことはできないのだよ


 思想や理想もないこの世界に

 なぜ風はふくのだろう


 どんなに和らいだ風でも

 僕の心を和ませはしない


 風はなにをはこんでくるのだろう

 風はなにをさらってゆくのだろう


 僕にはわからない

 この世代の風たちが美しいかどうか


 じいさんは言った

 風は七色の花びらをはこんでくるのだよ

 その風の中に我々はいつでも居るのだよ


 空想と現実の境がないこの世界に

 なぜ風はふくのだろう


 どんなに温かな風でも

 僕の心は満たされはしない


 風は風で

 僕は僕

 七色に光る花びらにのり

 風にふかれながら

 僕はかわってゆくのだろう


自由詩Copyright 星月冬灯 2008-07-27 01:07:49
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